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因子分析における斜交回転のκやδは何? [因子分析]

 SPSSの因子分析について詳しく解説している文献として、松尾・中村(2002)の「誰も教えてくれなかった因子分析 数式が絶対に出てこない因子分析入門」が挙げられます。数式がなく、因子分析の統計的な考えを丁寧に解説しており、大変優れた著書だと思います。
しかし、「誰も教えてくれなかった因子分析」に分析に載っていない内容があります。
→ということは、誰も教えてくれないの!

その1つは、斜交回転の以下に関する内容です。
■プロマックス回転のκ(kaapa)
■直接オブリミン回転のδ(delta)

↑因子分析ユーザーにとって、これは使える重要なオプションです!
 しかし、どのように使えばいいのかわからない!!
→小野寺・山本(2004)から、小5分調べてみました。

■κについて
プロマックス回転では、κの値によって解が変化する。小野寺・山本(2004)によれば、次の点が指摘されている。
①κの値が大きいほど、初期解で絶対値が大きな因子負荷量はより大きくなり、
 絶対値が中程度以下の因子負荷量は小さくなる。
②κの値が大きいほど、因子間相関は高くなる。
③経験的にκ=4が最適とされているが、データに依存する。
■次に、δについて
小野寺・山本(2004)によれば、次の点が指摘されている。
①SPSSでは0.8以下の値を指定するようなっている。
②マイナスの値にいくほど、因子軸が直交に近づき、
 プラスの値にいくほど、因子間相関が高くなる。
③変数や因子の数によって適切なδの値が変化するが、実用上は0以下を指定することが
 すすめられている。

*係数の値については、絶対的な決まりがありません。両者の係数もデータと格闘して、適当な値を算出するのが望ましいように考えられます。
噂では、SPSSとSASではκのデフォルトが異なるらしいです。

引用文献
・松尾太加志・中村知靖, 2002, 誰も教えてくれなかった因子分析-数式が絶対に出てこない因子分析入門-, 北大路書房
・小野寺孝義・山本嘉一郎編, 2004, SPSS辞典 BASE編, ナカニシヤ出版


それでも主成分分析を使うか! [因子分析]

因子分析において,因子抽出方法として主成分分析を選択するのはいいのか?

因子分析として主成分分析を使うことは,統計学的には正しいとは,いえない(と思う).
その理由として以下のことがあげられます.
1.因子分析は,観測変数に影響を及ぼす複数の因子(潜在変数)を説明しようとする分析である.
 それに対して,主成分分析は,観測変数に共通な成分から,一種の合成変数を抽出する分析
 である(松尾・中村, 2002).したがって,両者の分析のコンセプトが異なっている.
2.因子分析では,観測変数に影響を及ぼすものとして,共通因子と独自因子(誤差)が仮定されて
 いるが,主成分分析には,独自因子(誤差)を想定していない(そのため,因子分析の他の
 抽出方法よりも因子負荷量が高くなることが指摘されている(小野寺・山本, 2004)).

↑上記のような理由があるので,積極的に主成分分析を使えないと思います.
*因子分析と主成分分析の違いについては,松尾・中村(2002)で分かりやすく説明されています.

■どの抽出方法を用いいればいいのか(ユーザーとして)
 自分は,主因子法,最尤法,重み付けのない最小2乗法,一般化された最小2乗法の全てを用いて分析を行っています.その中で都合の良い結果がでるものを使っています(だって因子分析は解のない分析だもん).
最近では,最尤法をすすめる人がいますが,メリット・デメリットがあるので注意しましょう.
■メリット
・最尤法は,尺度変換を行っているので尺度不変の方法として考えられている.
 (10点と100点の項目を同じ因子に(多分)入れられる.)
■デメリット
・データをえり好みする→変数が多変量正規分布していることが前提になっている.
・サンプル数が少ないと不適解が生じやすい.
*自分の経験として,後者の場合は主因子法を用いれば,(共通性を反復 しないという制約がある ため)うまくいくことがあります.

引用文献
・松尾太加志・中村知靖, 2002, 誰も教えてくれなかった因子分析-数式が絶対に出てこない因子分析入門-, 北大路書房
・小野寺孝義・山本嘉一郎編, 2004, SPSS辞典 BASE編, ナカニシヤ出版


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