多重比較法の選択の再考 [多重比較]
多重比較法について訂正と再整理します。
永田・吉田(1997)によれば、多重比較法は第1種の過誤(帰無仮説が正しいのに棄却する→ユーザーの側で考えると、差がないのに差があると判断する)の確率をコントロールする方法であり、第2種の過誤(帰無仮説が正しくないのに棄却しない→ユーザーの側で考えると、差があるのに差がないと判断する)に関してはコントロールをされていない方法であることが指摘されてます(確率を考えるのが、理論的に難しい)。さらに、第1種の過誤の確率のコントロール方法に関してもさまざまな状況が考えられるため、多用な多重比較の方法が考えられています。したがって、研究の手続に応じて適した方法を選択する必要があります。
→小野寺・山本(2004)を用いて小5分調べてみました。
■使用に問題がある検定法
最小有意差(LSD), Student-Newman-Keuls, Duncan, Waller-Duncan
■統制群と実験群で比較
Dunnet(E)・・・統制群と実験条件のすべてと比較する。
■等分散が仮定されている
グループサイズが等しい:Tukey HSD, R-E-G-W(Ryan-Einot-Gabriel-Welsh)のQ
グループサイズが等しくない:Tukey-Kramer, HochbergのGT2
■等分散が仮定されない
グループサイズが等しく、誤差自由度が75以上:DunnettのC, Gabriel
グループサイズが等しく、誤差自由度が75未満:DunnettのT3
*以前はDunnettのT3を「おそらくDunnettの等分散が仮定されない版」と解釈していました。誤解です。
グループサイズが等しくなく、誤差自由度が75以上:DunnettのC, Games-Howell
グループサイズが等しくなく、誤差自由度が75未満:DunnetのT3
*さらに小野寺・山本(2004)によれば、厳しく第1種の過誤をコントロールする方法として、Bonferroni, TamhaneのT2, Sheffe, Dunnettが挙げられています。
引用文献
永田靖・吉田道弘, 1997, 統計的多重比較法の基礎, サイエンティスト社
小野寺孝義・山本喜一郎編, 2004, SPSS辞典-BASE編-, ナカニシヤ出版
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